エクスチーム

転職サイト「doda」の求人広告制作には、業務委託人材が必要不可欠。過去の対応履歴を可視化し、発注者全員のガバナンス強化を実現

パーソルキャリア株式会社
転職メディア事業部 制作統括部 マネジャー 桜木麻理様/転職メディア事業部 制作統括部 村上朋子様

まず制作統括部の仕事内容について教えてください。

(桜木さん)
制作統括部は、転職サイト「doda」に載せる求人広告を制作しています。クライアント企業様から掲載料を頂戴し、求人広告の内容を作っていくお仕事です。
「doda」の転職サイトは、沢山の求人から自分に合った求人を選んでいただくために、多くの求人広告を掲載する必要があり、それに応じて制作する本数も多くなります。また、クライアント企業様は全業種にわたり、採用ニーズが刻々と変化するため、制作する本数が週次、月次で変動するというのも特徴です。多くの求人広告を制作すること、かつ、本数が変動するという要素にうまく対応するため、10年前から業務委託のライターさん、デザイナーさん、カメラマンさんにお手伝いをしていただいていました。

業務委託活用の始まりを教えてください。

(桜木さん)
2005年、新しく転職サイト事業が立ち上がることになりました。
新しい取り組みのスタート時に採用された社員は様々なバックグラウンドを持っており、フリーランスの方々とのつながりも多い人たちでした。社員だけでなく、つながっているフリーのライターさんやカメラマンさん、デザイナーさんにも仕事を依頼できたら、もっと効率よく、多くの求人広告が制作できるという点で、業務委託活用が始まりました。
それ以降は、フリーランスの方々のネットワークで新たな人材を紹介してもらうなどして、人数を広げていきました。

業務委託人材ならではの有効性や、デメリットについても教えてください。

(桜木さん)
まず先程お話した通り、制作する求人広告の本数に波があるので、クライアント企業様の希望取材日に応えるためにも、社員だけですべてを対応しきるのは難しく、業務委託の方々がいないと、事業として成り立たないと考えています。
また、業務委託でお仕事をされている方は、それぞれの分野で豊富な経験があり、社内に無い知見や表現方法を持っています。そのような方たちに、多種多様な「doda」の求人広告を制作いただくことでバリエーションが広がります。加えて、知見あるフリーランスの方々と社員がコラボレーションすることによって、品質へのこだわりがより一層高まるなど、社員への刺激にもなっています。
デメリットとしては活躍いただく人材が増えるほどに、契約管理、発注管理などの管理が煩雑になることですね。

(村上さん)
フリーランスとして活躍している方々はそれぞれ強みや得意領域をお持ちなので、この業界の求人だったらこの人にお願いしようとか、この社風をうまく表現するにはこのデザイナーさんにお願いしようといったように、できるだけ専門スキルを発揮してもらえるように仕事を依頼しています。そういう点で、業務委託人材は非常に有効だと思っています。

これまでの業務委託人材の管理方法や、感じていた課題を教えて下さい。

(桜木さん)
基本的な情報をエクセル管理し、クオリティや対応力といった定性的な評価は社員各々の中に蓄積している状態でした。名前、連絡先、強みやポートフォリオなどの最低限情報はデジタル化して共有するようにしていましたが、例えば、依頼した案件に対してクオリティがどうだったのか、対応力はどうだったのか、といったフィードバックが可視化できておらず、発注するにあたって最も重要な情報が社員一人ひとりの中だけにある状態でした。
それによって、新しく社員が加わった際や自分の領域外の広告を担当した際に、適任者を探すことが出来ず、周りの先輩社員に聞いて回るしかなかったのです。

(村上さん)
聞く人によって、もらえる回答が違うというのもあります。「飲食業界に強いライターさんを教えてください」とお願いしても、答える方は自分が知っている情報の中から回答しますので、聞く相手によってお勧めされる人が違ってきます。「結局誰にお願いするのがいいの?」となってしまっていました。
また、こういった情報が個人の中に蓄積されていくだけなので、その人が退職してしまった場合や、内製を強化するため業務委託を積極活用しない期間があると、そもそも誰にお願いしたらよいのかすら分からなくなってしまうことも過去にありました。
顕著だったのが、エリアの壁です。デザインの仕事など場所を問わず依頼できる仕事でも、何故か、同じエリアの人たちに依頼が偏ります。禁止している訳ではないのに、自分たちが知っている人が依頼しやすいという要因で、エリアによる壁や偏りが自然に発生していました。

(桜木さん)
せっかくの有能なネットワークを最大限に有効活用できている状態ではなかった、ということですね。

(村上さん)
依頼が重複してしまうこともよくありましたね。社内の制作ディレクターから直接フリーのライターさんに打診をさせていただいていたのですが、他の制作ディレクターがいつ誰に依頼しているのかが見えないので、連絡をした際にライターさんから「昨日も断ったんですけど・・・」と言われてしまうようなことがありました。フリーランスの方々にも一緒に仕事がしやすいと思っていただけるように、この辺りの課題を何とかしたいという想いは強くありました。

解決に向けた検討プロセスや、エクスチームに決めていただいた理由を教えてくだ さい。

(桜木さん)
課題を解決するために、必要な機能・要件を洗い出し、それを解決できるシステムを探しました。 フリーランスを管理するシステムが世の中には少なく、当時はエクスチームもまだ開発中だったと思います。

(村上さん)
正しい内容で依頼できるかどうかというガバナンス観点や、校了日や支払い日などの社内ルールにも対応でき、業務の工数をかけずに運用できるかという観点で検討しました。システム1本で完結できるのがベストですが、全て対応できなくても、組合せで運用ができるかどうかというのは重要な判断軸でした。

(桜木さん)
検討した結果、当時エクスチームが開発されたばかりだったというのもありますが、正直に、他社のサービスが機能的には優位でした。それでもエクスチームに決めた理由が2つあります。
1つは、エクスチームのビジョンと、私たちが業務委託人材を今後どう活用していきたいかというビジョンがマッチしていると思いました。 エクスチームは、企業とフリーランスが直接つながる世界を創りたいというビジョンを持っていて、私たちも、エージェントに頼るのではなく、直接依頼したい。そのためにフリーランスの方々とつながりを創りたいと考えていました。
もう1つは、プライシングの考え方でした。
プライシングについては、1アカウントいくらという考え方ではなく、100アカウントまでいくらという価格設計になっていたので、契約するフリーランスの数が多くなっても、価格変動が少なく抑えられるという点で、こちらも私たちが考える管理方法とフィットしており、導入を決めました。

導入頂き、効果はいかがでしょうか?

(桜木さん)
ガバナンスの強化は実現できたと感じています。
私たちのビジネスモデルでは、どうしても社内の発注者が多くなるのですが、法的知識も含めてリテラシーが高くなくても、適切な発注ができるようになりました。村上を含めた企画メンバーの準備も有効に効いています。業務委託の方々の職種ごとの報酬形態や対応範囲に合わせて発注書のテンプレートを大量に用意するなどして、エクスチームを活用させていただいています。

(村上さん)
全てが自動化された訳ではないので、正直今も入力ミスをしてしまうことはあります。
ただ、エクスチームの入力ルールを項目ごとに明確に定めたことで、発注者は入力がしやすく、管理者は確実に不備に気づけるようになりました。現場からも分かりやすくなったという声が聞こえています。

(桜木さん)
課題でもお話した、案件に対してどのライターさんが担当したかという履歴が残るようになったので、こういった求人広告を書いている人が誰なのか、ライターさん探しにも役立っています。また、案件のステータスが分かるので、ステータスが依頼中の場合、今案件をお願いできないなといったことも分かるようになりました。

(村上さん)
依頼を受けられない期間や連絡先の変更といったちょっとした連絡事項を、フリーランスの方がアカウントの備考欄に記載してくださったりするんです。メールでわざわざ連絡することではないけれど、発注者に知っておいて欲しい情報なども、簡単にやり取りできるようになったことは良かったです。

エクスチームの課題や要望はいかがでしょうか?

(村上さん)
これはエクスチームに限った話ではないのですが、ルールを決めても、ルール通りに対応できない人というのは一定割合で発生します。悪気があるとかではなく、ミス含め発生してしまうものだと思いますので、現在手入力しているところも選択式にしてもらえたら嬉しいです。

(桜木さん)
機能追加のお願いがあります。月のコストを可視化したいです。
ライターさん、カメラマンさん、デザイナーさんの職種ごとに、過去の推移も含めて月のコストを管理したいです。現在はCSVが吐き出せるので、それで代用していますが、ダッシュボードとして閲覧できると嬉しいです。理想を言うと、月の予算と一緒に可視化して、予算を越えたら発注できないように管理できたらと考えています。

(エクスチームインタビューアー)
ありがとうございます。今後改善に努めていきます。

最後に今後の展望について教えてください。

(桜木さん)
「doda」の事業としては、フリーランスの方々がいないと成り立たないと思っています。 「doda」の仕事に関わることで、フリーランスの方々の引き出しが増えることにもつながると思っていますし、「doda」以外でお仕事した経験を、今度は「doda」に返していただけるような、良いスパイラルを創っていきたいと思っています。 フリーランスである以上、フルタイムで時間を預けてもらえるとは思ってないですし、スポットで協力いただける関係でも良いと思っています。

(村上さん)
良い関係を長期的に築いていきたいです。新型コロナウイルスなどの影響により、一時的にお願いする案件が少なくなっても、専門性の高い人たちとの関係性が途切れてしまうのは、すごくもったいないと思っています。
私たちもそうですが、フリーランスの方々も「doda」と長期的に関わりたいと思ってくださっているはずです。私たちは、そういった人たちのために、その人の過去の実績をしっかりと記録しておくことや、信頼していただけるようなやり取りをしていきたいと考えています。

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フリーランス:100人以上

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人材紹介サービス、求人メディアの運営、転職・就職支援、採用・経営支援サービスの提供